男はつらいよ 第50作 お帰り寅さん

前々から楽しみにしていた「第50作 男はつらいよ お帰り寅さん」を12/27、21:00からのレイトショーで見てきた。


映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』予告映像

寅さんファンの1人として一言で言えば、大満足である。寅さんファンでない人にとってどうか、は正直言ってよくわからない。しかしよくよく考えてみると、寅さんファンじゃない人は見に行かないだろうし、この映画に興味もないだろうから、寅さんファンじゃない人にとっての感想を気にするのは意味がないだろうと思う。

ところで、大満足と言っても、それは一寅さんファンとして全面的に圧倒的に好意的であるからであって、細かいことを言えば「うーん、これはどうかな」という場面もないこともない。

例えば冒頭の桑田佳祐の主題歌の熱唱のシーンである。僕は、桑田さんのCDだってもっているし、彼が嫌いなわけではない。むしろファンの1人だと言ってもいいのかもしれないけれど、彼が冒頭から熱唱する姿には少しだけ違和感を感じた。

彼が冒頭で歌うよりは、渥美清の第一作目の歌で幕開けてくれたほうが僕には嬉しかった。そして、桑田佳祐の歌とその姿はエンディングであって欲しかったと思う。できれば、桑田佳祐も例えば高齢者施設の慰問に来ていた、などと映画に出演していれば、彼の出演の意義も明確になってよかったかもしれないし、時間軸の流れとしてもよかったと思う。

また、後藤久美子のお父さんは寺尾聡であってほしかったが、橋爪功だったこともちょっと残念だった。まぁ、これは寅さんの作品を熱心に見ている人だけの残念感かもしれない。

と言っても、どちらも寅さんファンにとっては取るに足らない話です。

 言うまでもなく回想シーンは多すぎたかもしれない。ただ、これは寅さんファンならむしろ嬉しい話である。僕も、これが大満足の理由の一つなのだから。しかもリマスタリングされていて、美しい映像ばかりだった。初代マドンナの光本幸子、歌子ちゃんの吉永小百合、おちよぼうの八千草薫岸恵子、十朱幸代、3回出演の竹下景子。そして言うまでもなく浅丘ルリ子後藤久美子夏木マリ。おそらく、出演した全マドンナが再編集されて出演していた。これだけの女優さんを一回の映画に出演してもらうことは不可能であり、それが50回目の再編集だから可能だった、ということでもある。きっと、編集作業は楽しかっただろうし、きりがなかっただろうなぁ、と思う。

博のプロポーズのシーン(第1作)。船越英二からもらったメロンのシーン(第15作)等々、名場面が次から次へとでてくる。これは、本当に寅さんファンのための映画だった。

ところで、もし寅さんをあまり見たことがない人で、この第50作を見に行くのであれば、以下の作品を見ておくと、もっと楽しめるかもしれない。

そして、50作目はその最後にふさわしいストーリーも用意されている。それは映画館でのお楽しみだと思います。なお、個人的には「まくら、さくらをだしてくれ」のシーンをスクリーンで見たかったかな。