住宅ローン、固定金利と変動金利を使った場合の十二年後の様子を報告

駅近で便利だな、と思ってマンションを購入したり、思い通りの家を新築したり、とりあえず土地だけを買っておこう、と思ったり、あるいは中古の不動産を購入する時も、大抵の方は住宅ローンを組むでしょう。不動産は高額であることが一般的で、その高額な金額を一括で払える人は大変限られています。そこで、住宅ローンという特定用途のローンを組むわけです。住宅ローンには、大きく分けて2つあります。変動金利と固定金利です。いったいどちらがいいのでしょう。私の場合、住宅ローンを組んで12年がすぎましたので、現在の状況をふまえながら考察してみます。

 

変動金利と固定金利

住宅ローンは、大きく分けて変動金利と固定金利があります。変動金利は市場の金利にあわせて変動し、固定金利はその時の金利で固定されます。固定金利は、さらに固定期間を設定できて、その期間がすぎると変動になったりします。固定金利のほうが将来の金利上昇を避けることができる、ということで大変人気です。また、多くのフィナンシャルプランナーは、固定をすすめます。変動金利で、金利上昇した時に払えなくなってしまい、自宅を手放すことにになってしまうのを避けたい、というのがその理由です。例えば、35年間固定ですと、標準的な「みずほ銀行」では、1.4%になっています。それほど高くありません。でも、「ソニー銀行」の変動金利は0.45%です。金利だけをみれは、変動のほうが得です。金利負担を嫌がる人には、変動金利が人気です。どっちがいいのか悩みますね。

 

私の場合

私の場合、住宅ローンを組んだのは2008年でした。リーマンショック前で、景気の拡大が予測されて金利の上昇も指摘されていました。

でも、私は変動を2/3、固定を1/3、25年ローンで自宅を購入しました。確か、固定は1.75%だったはずです。

バブルが崩壊してから金利が上がることはほとんどなかったし、その後も上がるような指標がなかったので、変動を多くしました。私は、少子高齢化が改善の兆しや決定打のない日本の景気は、金利が上昇するほどにはよくならない、と見積もったわけです。

さて、ローンを組んでからかなりの年月が過ぎました。時のたつのははやいものです。

おかげさまで変動の方はローン残高も無事半分以下になりましたけれど、固定はまだなりませんでした。固定は金利が高いから当たり前なのですが、今となってはなんとなく損した気分です。もちろん結果論ですが。

ここで、1つ確かに言えることは、固定金利を選ぶと、金利が高くなった時のリスクをヘッジしているけれど、金利が下がった時、上がらない時のメリットを享受できない、ということです。そして、この12年間、金利は下がる一方でした。つまり、固定だけですと、金利低下の恩恵にあずかれなかったということです。

あの時、ちまたのフィナンシャルプランナーの言うことだけを聞かずに変動を2/3確保しておいてよかった、と思う今日この頃です。

固定金利の分は、設定期間を終えて現在変動に移り、現在は1.25%です。変動に変わっても、期間限定固定金利の場合は、完全変動にはなりません。多少金利は下がったのではありますが、それでも純粋な変動よりは高く、このまま金利を返すのが無駄なのでどこかで一括繰上げ返済してしまう予定です。

住宅ローンを組む方は、金利の低下にも上昇にも対応できるようにローンを組み合わせて組んだ方がよいでしょう。そうすることで、長い年月の返済期間でおきる様々な状態に対応できるようになります。金利があがれば、変動を早く返済し、金利が下がれば、固定を返済する、と言うように。

例えば、固定と変動を半分づつにする方法もあるでしょうし、仕事が安定していたり、収入が多いのであれば、変動金利を多めにして、繰上げをしていく、という方法もあると思います。安定路線が好みなら固定を多めにするというのもいいと思います。

 

住宅ローンはどれくらい借りればいい?

住宅ローンは年収の5倍とか、6倍とか、返済額は年収の25%とか言う銀行員、不動産業者がいますが、これは鵜呑みにしてはいけません。

彼らは、不動産を売る立場、お金を貸す立場で話をしているのですから、購入者のその後の経済状況やその後の生活・人生なんて、ひとまず気にしていません。というか、好転していくものとして考えています。

もちろん、個人的には借り過ぎを心配されている不動産屋さんや銀行員も多いでしょうが、しかしサラリーマンとしてのノルマの前にはとりあえず目をつぶるしかない。銀行員の立場からいえば、できるだけ長く、金利の高い固定で借りてくれれば嬉しいのであって、不動産屋の立場では、高い不動産を買ってもらってそれ相応の手数料をいただき、そのためには返済期間を最大にしてローンの負担を感じさせないようにしたいのですから。

 

ですので自分で、きちん真面目に計画を立てる必要があります。例えば子供がいるのあれば、子供の人数にあわせた教育費、両親がいるのであれば、介護費なども念頭にいれないと大変なことになります。特に、子供教育費は、大学に進学まで考えた場合、小さな家がもう一軒新築できそうなくらいお金がかかります。子供1人に付き、倍数を1つ減らすぐらいは考えておくべきでしょう。例えば、子供が2人いたのなら、3倍から4倍、3人いたのなら2倍から3倍におさえないと大変です。例えば、子供2人で年収が700万円だとしたら、ローンを2800万円以下に押さえておかないと、あとで苦しくなります。子供が3人もいたら、2100万ぐらいにしないと大変です。もちろん、その後収入の上昇が見込めるなら、少しは冒険してもよいとは思いますが。

住宅ローンを組んで、3人の子供がいて、上二人が大学生という私が言うのですから、間違いありません。

 

その後、期待通りに収入が上昇しない中、子供が成長していくにしたがって、にっちもさっちもいかずに自宅を売却、ローンだけ残った、なんてこともあります。ネットで検索すれば、そんな例が沢山でてきますのでお気をつけください。

 

何年ローンがいいのか?

最近では、35年ローンを組む人が多いようです。しかし定年を60才とした場合、それまでにローンを終えようとすると25才で不動産を購入しないといけません。これは、非現実的です。25才では結婚もしていない人が多いでしょう。結婚、そして子供の誕生をきっかけとする方おおいでしょうから、35歳ぐらいでしょうか。ただ、35歳で35年ローンだと、完済するのが70歳となり、平均的な定年の60歳をのこして10年もあります。いずれ定年は70歳になると長年言われていますが、一向にその兆しはありません。あるのは、再雇用で収入が半分、1/3になった、というケースがほとんどです。これが現時点の事実です。

となると、退職金で残高を一括返済ということになったりします。これって、少し心配ですよね。老後資金が枯渇しちゃんじゃないかと。

時々、35年ローンを提案しながら、繰上げ返済をすすめるフィナンシャルプランナーがいますが、それだったら最初からローンの期間を短くした方がお得です。繰上げ返済には、手数料がかかるから、繰上げばかりしていると手数料ばっかりかかります。かりに、繰上げ返済で35年ローンを10年短縮したとするなら、最初から25年ローンで組んだ方が返済額が安く済みます。25年ぐらいにしておくと定年と同時に返済も終わります。

例えば金利1.4%で3000万円を借りた場合、35年では総額3800万円ぐらい、25年では3550万ぐらいです。250万円も違ってきます。お気をつけください。

 

手元資金を全額住宅購入に使っていいのか?

 住宅資金を貯めて800万になった、さて、これを全部頭金にして、という話がありますが、全部を頭金にするのは気をつけないといけません。家以外にもお金はかかりますので、多少は残しておくべきです。例えば、年収の半分ぐらい、少なくとも月収の3ヶ月分は確保しておいたほうがよいと思います。そうしないと、家具も買えない、なんてことになります。急な病気だって考えられます。

 

まとめ

子供がいる・いない、収入の今後の予定、職業の安定性によって、住宅ローンの組み方は変わってきます。私の経験から言うと、固定だけ、あるいは変動だけよりも、固定と変動をうまく組み合わせて 借りると変化に対応しやすいので、検討してみることをお勧めします。