年収1000万円でもなぜ余裕がないのか、について考える

最近、昇給してもなんだか生活が楽にならないなー、と思うことが増えました。そんなに収入があるわけではないけれど、なんか楽にならない。

友人に、一千万円の年収の人がいるのですが、彼も色々引かれると手元に残るのがすくないよ、といいます。そこで、額面と手取りの関係に関して調べてみました。手取り率は、2020年現在の大体の平均にしてあります。

参考のために、2000年頃のデータも日本生命リサーチのデータを参考に算出してみました。これによると、この20年で負担が随分と増えたことがわかります。友人の年収1千万円も、今は手取りは720万円。もし20年前だったのなら、手取りは820万近くになるはずなので、この20年間で100万円程度の負担が増えたことになります。月収に直すと1ヶ月8万円の減給です。20年前と同等の手取りをキープするためには、年収千百五十万円ぐらい欲しいところです。手取りという観点でみれば、日本人の給与は税金や社会保障費の増加で、結果的に10%程度ダウンしています。言い換えると、今の年収1000万円は、2000年頃の900万円ぐらいの手取りということです。

全体としてみると、平均給与も460万程度から440万円程度にダウンしているので、全体的にみれば15%程度、手取り的に貧乏になったと考えることができます。

現在、1000万円プレーヤーは厚生年金、所得税、消費税、雇用保険等々で280万円は天引きされてしまいます。仮に、住宅ローン又は家賃、私立大学の学生の子供がいて学費を納めていたりとすると、それだけで300万ぐらいは飛んでいくでしょう。手元には420万円が残ります。これを家族4人で分け合って暮らすとすれば、確かに余裕はないですね。月の生活費は35万円です。これには、貯金、生命保険、通信費、新聞代、車、食費等々を含むわけですから、固定費をひいちゃうと月25万ぐらいになっちゃうかもしれない。これでは、新人の独身のほうが使えるお金は格段に多いですね。

やっぱり、専業主婦と結婚したり、子供を授かったりするのは貧乏へ一直線のようです。貧乏になりたくないのなら、安定した仕事を持っている女性と男性が結婚し、お子さんは1人、多くて2人ぐらいに押さえておいたほうが良さそうです。二十年前と異なるのは、男女共に安定した職業を持つことが結婚への条件となりつつあることで、かつてのように、男性が安定した職業についていれば、女性の職業は問わない、という条件よりもかなりきびしくなっており、婚姻率が下がってきているのは仕方がないようです。

 

もちろん、貧乏でも楽しい我が家という価値観もありますので、それはそれでよいと思います。ただ統計によると、幸福率も年収800万程度までは年収に比例して向上していくので、貧乏でも楽しい、という境地になるためには、もしかすると安定した収入を得るより難しい修行が必要かもしれません。

一方で、800万以上の方は、収入が増えて行っても幸福率はあまり上がらないらしいのですが、これは800万以上は手取りが著しく減るわりには、仕事の責任ばかりが重くなるので割りに合わない、と感じる人が多い、ということかもしれません。あるいは、収入よりもやりがいとかが重要になるとか。

いずれにしても、夫婦ともに正社員でそれぞれの年収500〜700万ぐらいでいることがバランス的にはよいようです。二人が結婚すれば合わせれば世帯年収としては1000 ~1400万になりますし、理想的なのではないでしょうか。その場合、あまり忙しくない職業にどちらかがついている方がよいでしょうね。

 

代表例 額面 おおよその手取り 手取り率 2000年頃の手取り
大企業本部長・役員クラス ¥15,000,000 ¥10,200,000 68% ¥11,484,000
  ¥14,000,000 ¥9,660,000 69% ¥10,883,000
  ¥13,000,000 ¥910,000,000 70% ¥10,217,000

大企業部長クラス・大学教授クラス、パイロット、中小企業幹部など

¥12,000,000 ¥8,520,000 71% ¥9,619,000
  ¥11,000,000 ¥7,920,000 72% ¥8,893,000
新人医師 〜 課長クラス ¥10,000,000 ¥7,200,000 72% ¥8,168,000
  ¥9,000,000 ¥6,570,000 73% ¥7,450,000
大企業主任〜新課長クラス ¥8,000,000 ¥5,920,000 74% ¥6,734,000
  ¥7,000,000 ¥5,250,000 75% ¥5,969,000
新人専門職 ¥6,000,000 ¥4,560,000 76% ¥5,187,000
大企業2〜5年目社員 ¥5,000,000 ¥3,850,000 77% ¥4,375,000
大企業新人 ¥4,000,000 ¥3,120,000 78% ¥3,562,000
  ¥3,000,000 ¥2,370,000 79% ¥2,693,000