アルベールカミュのペストを読んでいる

ノーベル文学賞を受賞したアルベール・カミュは、ペストという小説を書いている。大変有名な小説だけど、僕は読んだことがなかった。「きょう、ママンが死んだ」で有名な異邦人は高校生の時に手にとって読んだ記憶があるけれど、ペストは題名からして暗そうだし、辛そうだし、本も厚いし、っということで手に取る気持ちにはならなかった。

ところが先日、妻がこの本を買ってきた。新型コロナウイルスによって、注目をされている、ということで買ってきたらしい。ところが、彼女は最初の数ページで飽きてしまったらしく、これではもったいないなあ、と思って代わりに僕が読み始めたのだった。

まだ半分ぐらいまでしか読んでいないが、いま、このコロナ禍においては、身につまされる話や、ああ、まさにここに今の世界が置かれている状況が書いてある、という気持ちになる。細かい表現は違うけれど「この伝染病が、流行が始まった時にはこんなにも長引くことになるとは、その当時は誰も想像できなかった」とか「観光業が壊滅的に打撃をうけることになった」とか「その時は、その政策によって隔離されてしまって、会うことができなくなるとは誰も思わなかった」とかが書いてある。出版は1947年、いまから73年前の小説が、21世紀になって20年も経過した現代で、世界中の国々で、先進国も途上国も同じような状況に陥っていしまうとは、カミュの洞察力、見抜く力の恐ろしさに驚愕してしまう。

僕は、小説を読む時、そうページ数の半分ぐらいまでくると最後をちらっと読んでしまう癖がある。最後は、ようやくペストを押さえ込んだところで終わっているが、主人公の医師が、医師である彼には、今は、一時的に押さえ込んだだけで、これで終わるとは言えないことがわかっていた、とあって、このコロナもきっと同じなんだろう、と思わざるを得なかった。

あと半分、楽しみながら、驚愕しながら読み進めたいと思う。